2021年2月1日 遺言などの相続対策の重要性を痛感しています

 

 現在、相続手続きのお手伝いをしています。遺言を残すことは大切だとは分かっていたつもりですが、今回の体験でいかに重要なのかを実感しました。

 特に、お子お様が無く兄弟がいるご夫婦の遺言作成の重要性は、残された配偶者さんの相続手続きの煩雑さがが倍増します。

 

◆配偶者への相続と、親族への相続の迷い 

 生前、ご主人は、『今度こそ退院したら、遺言を残そう』と、話されていたそうです。

でも、間に合いませんでした。遺言を残す前に気力が無くなってしまったようです。

 遺言を残すお気持ちがあったのになぜ残せなかったのか?今、改めてご主人の心の内を想像しています。

 お子様のいないご夫婦でしたので、奥様も大切だが、甥っ子のことも気になる。と生前話していらっしゃいました。つまり、『財産を全て奥様に相続させる』ことで、奥様が亡くなった後の相続では、奥様の兄弟にも相続権があり、甥に財産を相続させられない。という心配があったようです。でも、甥に相続させる遺言を有効にすることはできませんので、その迷いから、遺言を残すことをためらってしまったようです。

 とても理解できる話です。

 奥様に全ての財産を相続させて、その後甥に財産を相続させる方法は、いわゆる家族信託手法を用えればかなうことは、私からもお伝えしましたが、遺言ほど世の中に浸透しておりませんので、きっと疑心暗鬼だったのだと思います。

幸い相続税で生活に支障がおきる事態にはならない相続財産でしたので、私自身もあまり強くは遺言や信託のことをお勧めしませんでした。

 でも、今は後悔しています。

 

相続に伴う名義変更など、手続きがとにかく多い

 不動産や預金口座や株式などの相続に伴う名義変更手続きが膨大な量です。つまり、遺言がないと原則、全ての手続きにおいて、法定相続人から同意、つまり、署名と実印での押印に加え印鑑証明書の添付が必要となるのです。

 更にハードルが高い理由が、ご主人のご兄弟が高齢で、認知症や亡くなったりして、更に相続が重なり複雑になります。遺言、あるいは信託を組成していれば、兄弟には遺留分がないので、成年後見に対しても悩まずに済みました。

 また相続人が法定後見人の場合、家庭裁判所の許可が必要になります。今回は法定後見人の立場から、相続放棄をする訳にはいかず、法定相続分の相続を代償金名目で支払う結果となりました。無論、兄弟全員に均等に金員を支払います。 

 

◆その先の親族より身近な配偶者を

 やはり、苦楽を共にした配偶者を優先して考えていただくべきですね。お子様が無くご兄弟がいるご夫婦の場合は、遺言を残すことや家族信託の組成を強くお勧めする次第です。

 

 

かながわFP生活相談センターでは、相続、成年後見制度、家族信託についてのご相談をお受けしています。

 

 

一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC)   志村 孝次  AFP・宅地建物取引士

KFSCは神奈川県民の皆様のライフプラン作りやより豊かな生活の実現に貢献するこ

とを目的に活動するベテランのファイナンシャル・プランナー集団です。

  

 

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