2024年3月1日 保険は本当に必要なのか?~ライフプランからみた保険設計~

保険といえば、病気やケガ、死亡時など、もしもの時に備えて加入を検討している人も多いでしょう。一方で、「保険は本当に必要?」という意見もあるように、保険に加入するか悩んでいる人もいるでしょう。今回は保険が不要といわれる理由、そして加入していない場合にどうなるのかを、ライフプランを通して保険の加入・見直しのポイントとともに解説します。 

※ここでの「保険」は、民間で取り扱っている保険を指します。  

 ◆ 保険は本当に必要なのか? 

1.社会保険制度の充実 

 日本では「国民皆保険制度」が定められており、病気やケガの際に医療費負担を1~3割に軽減できます。また、1ヶ月間で支払う医療費が高額になった場合には、一定以上部分の金額が戻ってくる「高額療養費制度」もあり、医療費に関する制度が充実しているといえます。 

 

2.貯蓄からの保険料支払い 

 保険に加入すれば、毎月、毎年など定期的に保険料を支払わなければなりません。保険料は毎月数千円以上かかります。 

 健康であれば使うかどうかわからない保険にお金を支払うのがもったいないという考え方もあります。中には保険料分を貯蓄に回し、医療費は貯蓄から支払えばよいという考えの人もいます。 

 

3.各種の公的年金 

 日本には公的年金制度があるため、原則65歳以上になれば年金を受け取ることができます。また、病気やケガで働けなくなったときには障害年金、国民年金や厚生年金の被保険者が亡くなった場合、条件を満たした遺族がいれば遺族年金が支払われます。  

 働けなくなり、収入がなくなった場合でも年金が給付されるため、民間の保険で備える必要がないという考え方もあります。 

 

【保険 種類別加入率】 

出典:2022(令和4)年度 生活保障に関する調査  

医療保険、生命保険(死亡保障)は調査対象者の過半数が加入しています。 

入院費用や万一のための費用を準備したい人が多いということがうかがえます。 

 

◆ 保険に入っていないとどうなる?

1.遺された家族の経済的負担 

 保険(生命保険/死亡保障)に加入していない場合、家族の生計を支えている人が亡くなったときには、収入が途絶えて遺された家族が経済的な負担を抱えることになります。  

 遺された家族が働き始めるとしても、子どもがいる場合、託児所の支払いが増えたり、仕事が忙しくて外食の機会が増えたりと、生活スタイルが変わることで結果的に出費が増えてしまう可能性もあります。

 経済的な負担を抱えることで、これまでの生活水準を維持するのが難しくなります。 

 

2.公的保険対象外の治療費 

 公的医療保険制度があるため、国民健康保険の被保険者であれば病気などの医療費負担は1割~3割です。また、医療費が高額になった場合は高額療養費制度が適用され、一定以上の金額(自己負担限度額を超えた分)が戻ってきます。  

 しかし、差額ベッド代、入院時の食事代、先進医療などの一部の対象外の治療は健康保険で賄うことができません。医療保険に入っていない場合、これらの費用を貯蓄から切り崩すと経済的に大きな負担になります。 

 

3.治療中、治療後の収入減 

 入院や通院によって、病気の治療中は今までのように働けなくなる可能性があります。また、治療が終わってもしっかり働けるようになるまで時間がかかるかもしれません。病気にかかる前のように働けなくなることで収入が減ってしまうことも考えられます。 

 

 ◆ 保険が必要な人とは? 

 1.扶養する家族がいる人 

 配偶者や子どもなど、扶養する家族がいる人の場合、万一のことが起こると遺された家族の生活に大きな影響が生じます。遺された家族のためにも生命保険で備えておくと安心です。 

 また、病気・ケガで療養する場合も収入が減る可能性があります。死亡保障だけでなく、医療保険・がん保険などにも加入し、家族が困らないように備えることを検討しましょう。 

 

2.給与を家計の足しにしている人 

 共働きなどで収入を家計の足しにしている方も多いのではないでしょうか。そのような場合、一方の収入が途絶えた場合、家計に影響が生じるので、不足しそうな分を生命保険でカバーできるよう加入しておく方がよいでしょう。 

 

3.貯蓄を別の目的で使いたい人 

 マイホーム費用や学費、そして老後など、何らかの目的を持って貯蓄をしている方は多いでしょう。その貯蓄を医療費や遺された家族の生活費として使うことになったら、当初の目的に使えなくなることもあります。貯蓄には手をつけず、生活費を確保したいのならば、生命保険に加入することを考えましょう。 

 

4.貯蓄額に不安がある人 

 貯蓄が少ない場合、いざというときに医療費が支払えなくなったり、家族の生活に影響を与えたりする可能性があります。現時点で貯蓄額に不安があるという方も生命保険の加入を検討するとよいでしょう。 

 

◆ ライフプランからみた保険設計 

  保険に加入・見直しをする際には、目的に合った保険を選び、そしてその保険金額はいくら必要なのかを考えることが重要です。 

 

1.目的にあった保険 

 保険を選ぶ際には、ケガや病気に備えたいのか、死亡時の保障を得たいのか、お金を貯めたいのか、どんなリスクに備えたいのかなど、加入の目的を明確にする必要があります。 

【目的別 保険の種類】 

2.必要保障額 

 家族の状況から必要な保障額を考えることが重要です。 

まずは、万一のときに、どのくらいの金額が不足するのか考えましょう。また、不足しそうな金額だけでなく、「小さい子どもがいて配偶者がフルタイムで働けない」「今後10年程度は学費がかかりそう」「親の介護が発生するかも」など、家族の状況も見ながら必要な金額を決めましょう。 

 そして、この必要保障額を算出するのに必要なのがライフプランです。 

 ライフプランは、各々の家族構成や年齢、ライフイベントによって、人生における収入、支出、貯蓄、負債を知ることができ、算出することで人生の必要保障額を導き出すことができるのです。 

 

【ライフプラン表<イメージ図>】 

 

◆ まとめ

 

 日本は社会保険制度が充実しており、貯蓄があれば、「保険は不要」と考える人もいますが、保険が必要かどうかは、ライフプランにより家計・資産状況を把握したうえで、目的、金額などをしっかりチェックしてから判断することが大切です。

 自分では判断できない、よくわからないといった場合は、FP(ファイナンシャルプランナー)に相談してみるのも良いでしょう。 

 

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一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC)  左右木 伸也

     専門分野: 家計診断

ライフ・リタイアプランニング、資産形成、金融資産運用設計、教育資産設計、

リスクと保険、医療・介護・相続

主な資格:

CFP®、1級FP技能士、証券外務員一種、相続診断士

 

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